「剣客商売(三) 陽炎の男」 池波正太郎

40歳女感想

 この巻では、三冬の大治郎への恋が少しずつ芽生えていく。時代小説では比較的珍しい淡いドキドキ感があって良い。巻が進むとキュンキュン物になるのかも、と想像すると楽しい。
 大治郎の話が多い展開で、強いのが当たり前の小兵衛より、大治郎の強さを見ることができて面白い。この親子は、負けたり焦ったりすることはないのか?ドラゴンボールの悟空なみの強さ。
 ところで、うすうす気付いていたが、作品内のグルメの表現がかなりうまい。そら豆の煮たのとか、エビのさんしょう焼きとか、凝った小料理店とか、ずいぶん、食の話が具体的だな、と思っていたら、池波先生はグルメっぽい。他の書籍一覧を見てわかった。彩り豊かな作品である。